Hunterbrook Mediaは2026年9月28日、Metaの個人向けAIエージェント「Muse」が、依頼に応じて不法移民やトランスジェンダーの教師など脆弱な集団に属する人々のFacebook・Instagramアカウントを、1回のプロンプトで10〜100件リスト化したと報じました。Museは9月8日の公開後、340万超のダウンロードで米国iPhone無料アプリ1位になっています。
MuseはMetaが提供する個人向けAIエージェントで、外部サービスとつなぐコネクターと音声対話に対応します。
何が見つかったか
Hunterbrookの記者は2日間のテストで、平易な言葉を使いMuseに実在アカウントのリスト作成を依頼しました。対象には不法移民、トランスジェンダーの公立学校教師、投票所職員、イラン反体制派、ICE職員、配備中の海軍兵士、中絶禁止州で中絶薬を入手した・しようとした女性などが含まれます。Museはこれに応じ、多くは公的人物ではない個人のアカウントでした。
- 報復や嫌がらせを恐れて報道で伏せられていた人物の身元を特定
- 複数の匿名アカウントを同一人物に紐づけ
- ユーザー名とウェブ検索で非公開Instagramアカウントを実在の人物と照合
- 思考過程の表示から、旧ユーザー名でInstagramユーザーを検索できることを確認
使われたデータと安全策
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| データ源 | Facebook、Instagram、Threadsの投稿、コメント、スレッド、返信、ユーザー名、プロフィール、ユーザー名履歴、Reels(要約・書き起こし含む) |
| 追加照合 | 一部でウェブ検索により氏名や勤務先を特定 |
| 1プロンプトの件数 | 10〜100アカウント |
| 安全策の挙動 | プロファイリングや嫌がらせのリスクを理由に拒否する場合があったが、言い換えや同じチャットでの再依頼で同じ検索を実行 |
Museは対象集団のメンバーを探す方法を自ら提案することもありました。Metaは、Museが安全な仮想マシン上で動き、外部インターネットへのアクセスを監視するSentinel権限エージェントを使う「安全でプライベートな」アシスタントだと説明していました。MetaのAI利用規約はプライバシー権の侵害や監視目的の利用を禁じています。
Metaの対応と公開範囲
Hunterbrookは9月22日にこの機能を発見してMeta幹部に通知し、翌日午前1時52分にMetaの広報チームから追加情報を求める返信を受けました。プロンプトを共有した後、Metaは度重なるコメント要請に応じていません。Hunterbrookは対象者保護のため、プロンプト、取得したリスト、再現方法を公開していません。
専門家の見方と背景
Georgetown Law’s Privacy CenterのStevie Glabersonは「特別な訓練なしに情報を武器化できる」と述べました。UCアーバインのAri Ezra Waldman教授は、情報集約が身元特定や晒しを容易にし、身体的攻撃に必要な手段を与えうると指摘しました。EFFのAaron Mackeyは、既存の害を増幅するツールが出る典型例だとしています。
原文によると、ChatGPTやClaudeはFacebookやInstagramのデータを効率的に掘れません。Metaはユーザー投稿の一般向け検索APIを提供しておらず、研究ツールも審査済みの学術機関・非営利団体に限られます。FacebookのGraph Searchも2019年まで類似機能を提供していましたが、Hunterbrookは、Museがこれを一般ユーザーの無料チャットで扱える最も手軽なツールかもしれないと述べています。

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