Hugging FaceはTransformers v5.20.0をリリースし、Metaの816BマルチモーダルMoE「Muse Spark Open」を含む7つの新モデルへの対応と、Dynamo・ONNX・OpenVINO・ExecuTorch向けのエクスポート時量子化を追加しました。あわせてcache API、kernels、configまわりの破壊的変更も入っています。
新たに対応したモデル
| モデル | 開発元 | 主な仕様 |
|---|---|---|
| Muse Spark Open | Meta | MoE、総816B・活性42B/token、コンテキスト最大1,048,576 tokens、入力はテキスト・画像・音声・動画、BF16/NVFP4チェックポイント |
| Ling 3.0 Flash | InclusionAI | ハイブリッドMoE。KDA層5つとMLA層1つを組み合わせ、routed/shared expertsを併用 |
| Kolibri 1 | Aleph Alpha | ドイツ語・英語重視の推論MoE。50層、384専門家から6つへsigmoidルーティング+shared expert1つ。sliding-window 4層とfull attention 1層の交互構成 |
| MiniCPM-V 4.7 | OpenBMB | SigLIP+Qwen3.5バックボーン、4x/16x視覚ダウンサンプリング、新たにcanvas M-RoPE |
| UnlimitedOcr | Baidu | 3B、32,768 tokens。DeepSeek OCRベースで全デコーダ注意をR-SWAに置換し、デコード中のKVキャッシュを一定に保つ |
| UltraBERT | — | 双方向エンコーダ、最大32,768 tokens。UltraBERT-150M、UltraBERT-380M、UltraBERT-Embed-150M |
| MOSS-Transcribe-Diarize | — | 0.9B。文字起こし・話者分離・タイムスタンプを単一パスで出力、50以上の言語 |
Muse Spark Openは、マルチファイル編集、デバッグ、ツール利用といったエージェント型コーディング向けに学習されています。NVFP4はNVIDIAがBlackwell向けに導入した低精度浮動小数点形式です。UnlimitedOcrは、KVキャッシュを一定に保つ構造によって数十ページを1回のforward passで書き起こせます。MiniCPM-V 4.7のcanvas M-RoPEは、視覚トークンに(temporal, height, width)の位置を割り当てます。
使い方と要件
- Ling 3.0 Flashは
BailingHybridForCausalLMとしてネイティブ対応しており、trust_remote_code=Trueを指定せずに読み込めます。 - UnlimitedOcrには2つのモードがあります。gundamモードは640x640タイルと動的クロッピング、baseモードは単一の1024x1024ビューを使います。またUnlimitedOcrは領域検出とバウンディングボックスの出力に対応します。
- MOSS-Transcribe-Diarizeは、processor側のWhisper-window chunkingで長時間音声を処理でき、hotword biasingによるプロンプト付き文字起こしにも対応します。出力形式は
[start][S01]text[end]です。 - エクスポート時の量子化は、PT2E・ONNX Runtime・NNCFの量子化器を統合した新しいAPIで設定します。静的・動的量子化と、重みのみのINT8/INT4圧縮を選べ、キャリブレーション手順も設定できます。
破壊的変更
- EP(expert parallel)を使った推論で速度低下が起きており、Hugging Faceは修正中としています。
cache_utils.pyから非推奨のメソッドを削除しました(minimax_m3_vlやpi0などが影響を受けます)。これらを呼び出しているコードは現行のcache APIへ移行する必要があります。- kernelsの最低バージョンを
0.17.2に引き上げました。use_fallback=KernelizeFallback.ALLを指定すると、カーネルの読み込みに失敗したときに元の実装へフォールバックします。 embedding_gemma2などで、他モデルからの誤ったimportを削除しました。該当する名前は元のモジュールからimportする必要があります。- サブconfigの初期化を
SubConfigSpecで一元化しました。独自のネストしたconfigは対応が必要になる場合があります。 - LUKE/mLUKEのトークナイザがエンティティ特殊トークンを特殊トークンとして扱うようになり、トークナイズとデコードの出力が以前と変わる可能性があります。
並列化・カーネル・キャッシュの改善
- FSDP × TPのモデルとoptimizerのチェックポイントを、異なる並列構成の間で保存・読み込みできるようになりました。
- static-cache
generate()について、ホスト側入力を使う場合とTP下での不具合を修正しました。 - TPU上でのWhisper生成を高速化しました。
- 画像デコードをtorchcodecへ移行しました。
- ROCmでflash-attnが未インストールの場合、
flash_attention_2はAITERカーネルにフォールバックします。 - T5系モデルが再びfused kernelsを使えるようになりました。
- Hubのrotary kernelは、backwardの勾配が誤っていたためCUDA推論時のみの使用に限定しました。
- Atlas InferenceのStrix Halo向けおよびGB10向けGated DeltaNetカーネルで
torch.compileを有効にしました。 - offloaded cacheのprefetchで起きていた競合と、Phi3 LongRoPEのキャッシュ再構築の問題を修正しました。

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