DeepSeek-AIは、大規模なDeepSeekモデル向けの推論フレームワーク「DeepInfer」をGitHub(deepseek-ai/DeepInfer)でApache License 2.0のもとオープンソース公開しました。対応モデルはDeepSeek-V4.1-Flashで、動作対象はNVIDIA SM100 GPUとHuawei Ascend 950 NPUです。
DeepSeekは言語モデルの研究成果と重みを公開し、対話サービスやAPIを提供するAI開発企業です。Hacker Newsでは185ポイント・57コメントを集め、リポジトリはスター4.2k、フォーク319、プルリクエスト9件の状況です。
何が新しいか
DeepInferはDeepSeekの大規模本番サービスを支える推論フレームワークで、今回の公開版はスケール提供に必要な中核機能を備えたオフライン推論を提供します。主な機能は次のとおりです。
- 最適化カーネル: FlashMLA、DeepGEMM、DeepEP、TileKernels、DeepSelect、独自TileLangカーネル
- 並列化: Attention DP / balanced CP、MoE EP + EPLB
- DSparkとconfidence-scheduled verification(ドラフトトークンでデコードを高速化し、信頼度推定で検証をスケジュール)
- Decoder SWA bounded replay(有界なサフィックスのみ再生してprefill作業を削減)
- 非同期スケジューリング(CPUのバッチスケジューリングとデバイス実行を重ねる。既定で有効)
- バッチ不変推論、決定的サンプリング(いずれもNVIDIAのみ)
- 構造化出力(正規表現、JSON Schema、EBNF文法)
一方、完全な推論サービスに必要なKVキャッシュシステム、VE/Prefill/Decode分離(エンジン側の必要機能の大半は実装済み)、PrefillとDecode双方のデータ並列レプリカ間ロードバランシングは公開版に含まれません。
DeepInferは主にvLLMを基盤に構築され、SGLangとTensorRT-LLMも参考にしています。vLLMはPagedAttentionや連続バッチ処理を備えるLLM推論・配信ライブラリです。
要件と試し方
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| OS | Linux |
| コンパイラ | GCC 13.0以上 |
| Python | 3.12 |
| NVIDIA | CUDA 13、SM100 GPU |
| Ascend | CANN 9.2、Ascend 950 NPU |
空のPython 3.12環境を作成・有効化したうえでビルドします。Ascendではnvidiaの代わりにascendを指定し、実行環境でもこの変数をexportしたままにします。
export DEEPINFER_ACCELERATOR=nvidia
./build.sh
python examples/offline_inference.py
初回実行時に既定チェックポイントdeepseek-ai/DeepSeek-V4.1-Flash-1017がHugging Faceキャッシュへダウンロードされます。ローカルコピーを使う場合はDEEPINFER_HF_MODEL_DIR=/path/to/DeepSeek-V4.1-Flash-1017を設定します。
主な設定
| 機能 | 設定 |
|---|---|
| MTP可変長デコード | DEEPINFER_ENABLE_MTP_VARLEN=1、最大ドラフト長はDEEPINFER_USE_NEXTN_DECODE(既定5) |
| SWA bounded replay(V4.1既定) | DEEPINFER_YOCO_PREFILL_TRUNCATION_MODE=compact、DEEPINFER_YOCO_PREFILL_KEEP_TOKENS=140 |
| バッチ不変推論 | DEEPINFER_BATCH_INVARIANT=1 |
| 決定的サンプリング | DEEPINFER_BATCH_INVARIANT=1 DEEPINFER_ENABLE_MTP_VARLEN=0、SamplingParamsに固定のseq_seed |
| 構造化出力 | SamplingParamsにso_args={"schema_type": ..., "schema": ...} |
SWA bounded replayで保持するサフィックスは、SWAウィンドウと最大バックトラック長をカバーする必要があります。
ベンチマーク条件
性能ベンチマークは、Prefillを4基、Decodeを64基のSM100 GPUで測定しており、いずれも単一のscale-upドメイン内での計測です。再現にはrun_sweep.shを使い、評価ベンチマークはeval/README.mdにまとめられています。

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