OpenAIは、内部モデルが生成した数学・計算機科学・物理学の3件の研究結果を発表しました。内容は局所平滑化予想の全次元での証明、指数時間仮説(ETH)の反証、QCDを含む相互作用量子場理論の数学的存在証明です。あわせて、学術コミュニティと連携して検証・説明する新しい公開方法を示しました。
3件の結果と公開戦略
OpenAIはこれらの原稿を完成した結論ではなく「生の研究データ(raw research data)」と位置付けています。外部専門家に「shepherd」としてグループ編成を依頼し、その助言に基づいて分野ごとに異なる公開戦略を採りました。
| 分野 | 結果 | 公開方法 |
|---|---|---|
| 数学(調和解析) | 局所平滑化予想を全次元で証明。これによりKakeya予想とSteinの制限予想も全次元で解決 | AI出力をそのまま公開 |
| 計算機科学(計算量理論) | ETHの反証(Leanで検証済み) | 外部グループを設置し、自然言語証明とLean形式化を直ちに公開 |
| 物理学(量子場理論) | 4次元でゲージ場とフェルミオンを含む相互作用量子場理論(QCD、標準模型の統一的完成)の存在証明。部分問題として純Yang–Mills理論の存在証明を含む | 外部グループが資料公開を保留し、自ら論文化 |
局所平滑化予想の新しい証明は、新規の補助偏微分方程式に基づいています。OpenAIは3つの方法のどれが最も有用かはまだ分からないとし、フィードバックを求めています。
生成・形式化の日付
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| ETH反証の自然言語証明発見 | 2026年10月16日 |
| ETH反証のLean形式化 | 2026年10月17日 |
| 局所平滑化予想のAI出力取得 | 2026年10月18日 |
| 局所平滑化予想のLean形式化 | 2026年10月19日 |
| Yang–Mills存在証明の自然言語証明生成 | 2026年9月9日 |
| QCD証明の生成 | 2026年9月18日 |
| Yang–Mills存在証明の形式化完了 | 2026年10月16日 |
量子場理論の成果については、分量と複雑さを理由にOpenAIはLean形式化の完了まで公開を延期していました。
確認方法と参加窓口
- 数学とETHの成果は、OpenAIの公開GitHubリポジトリ(
openai/math)でAIの自然言語出力(preprints/以下のpaper.pdf)とLean証明(lean/docs/079.md、lean/docs/378.md)を確認できます。 - ETHについては、Russell Impagliazzo(UC San Diego)、Ramamohan Paturi(UC San Diego)、Ryan Williams(MIT)が率いるグループが検証を担います。グループの要請により全生データを公開し、OpenAIは影響を議論する会議の資金提供を約束しました。グループはコミュニティに公開検証と議論への参加を呼びかけています。
- 量子場理論はDavid Grossが率い、Michael Douglas、Arthur Jaffe、Igor Klebanov、Nikita Nekrasovが参加します。連絡は
YANGMILLS4D@gmail.comに送るよう求めています。
外部協働の4原則
- 透明性: 参加者はNDAを結ばず、作業や中間成果を議論・共有・公開できます。
- 学術的クレジットを求めない: OpenAIは内部モデルの発見についてクレジットを求めません。
- 承認: グループは自ら構築した理解や執筆物について評価を受けます。
- 独立性: 参加は任意・無報酬で、結論は参加者自身のものです。参加者はOpenAIを代表せず、OpenAIも参加者を代表しません。
OpenAIは、最初のshepherdの選定が誰が先に関与するかを左右し、情報の非対称性を生むというトレードオフも認めています。

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